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オランダ店休店

人生、山あれば谷あり。まさかの思わぬところからの刺客です。

実は、3年前に入居して1年目の冬でしょうか。壁のペンキがはがれてきたんですね。その時は、正直、ペンキ屋に手を抜かれたんだと思いました。でも今年ペンキだけじゃなくてその下の部分もはがれてきてさすがに大家さんい連絡しました。検査をしてみたところ壁が地下水を吸っていてレンガの上の漆喰がはがれてきているとのこと。それを聞いてもまだそんなに大変なこととは思っていなかった私です。それがなんと、夏の間に漆喰をすべてはがして塗りなおすので一時退去してくださいとのこと!実は、この工事は私は法的にダメという権利があります。構造上危険な場合大家側は賃貸契約を解除することができるのですが、そこまで危険にあてはまらない場合は、私は、これでいいからしないで欲しいということもできるのです。うちの場合は、かなりグレーゾーン。何人かのほかの大家さんの意見を聞いたところ、自分が大家だったら今の相場は上がってるから賃貸解除してきれいにして値上げして新たなテナント見つける、とのこと。大家さんからはそんな話は全然ありませんでしたが、ここはちょっと聞き分けのいい店子でいることにしました。

 

そんなわけで、6月3日から改修工事が始まります。

お店の在庫はすべてそっくり店の上のアパートが改修工事前で空いているのでそこに置けることになりましたが、そこは、コンクリートむき出しの電気もガスもないところ。仕事ができるわけではありません。

 

というわけで、工房関係は2か月間休業することになりました。本当に2か月で済むのか、というのが今のところの一番の心配事です。

 

さて、この2か月。多分、何かのチャンスなんだと思います。いつもだったらできないことをしたり、いつもだったらしなければいけないと思い込んでしてることをしないで無駄に気が付いたり。

 

すでにこの休店騒ぎで得ることがありました。

それは、人のありがたさを実感すること。事業は経済的なことが重要になるわけですが、それを支えているのはすべて人間。

同業の方に在庫を引き取ってもらったり、懇意にしているお客さまに急いでご購入いただいたり。経済的なことだけでなく、本当にサラッと皆様ご購入くださって本当にありがたい限りです。

以前、友人に事業っていうのは結局人だから。人と人とのつながりだよ。って言われました。本当にそう思います。休店の張り紙をみて、どうしたの大丈夫?と声をかけてくれたご近所さまは数知れず。向かいの劇場はお客様が楽器を試したいならうち使っていいよ、お金はいらないから、と言ってくれたり。それだけでなく、いろんな人が、休業しなくて済む方法を考えてくれたり。

このオランダ店を開店して以来、本当に人の大切さを身に染みて感じています。そして、一番大きいのは、自分の役に立つから親切にしないと、とかそういうことではなく純粋に人を大切にしたいと思えるような出会いがたくさんあったことです。そして、大切にしたいと真面目に目の前の人に向き合っているとたった数分、数回しかお会いしたことないお客様なんかにも伝わるんですよね。そして、大切にしていただける。このところは、そんな出来事が特に多くてこんな素晴らしい人がいっぱいいる、やっぱりいいな、もっと大切にしたいな、と実感しているところです。だからこそ、たまに人のことはどうでもいいから自分だけ得したいって感じの方がいらっしゃるとすっごくがっかりしちゃうんですけどね。

さて、実際には、工房での仕事はしない代わりに、たまりにたまった事務仕事を片付け、ウェブサイトもようやく更新する予定です。

でも一番したいのは、オランダにいながらどうやって日本と向き合っていくか、じっくり考えたいです。また、オランダでもはあと数年でこの町で一番大きな弦楽器店になると思います。どうやってなるのかではなく、なった後でもこの業界を引っ張っていけるような方向性を打ち出せるよう、一番大事なもの、もう一回考え直す予定です。

 

この2か月、できないことが多いからこそ秋から大輪を咲かせられるような準備をしたいと思っています。

 

 

 

 

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